2025年11月12日、Valveが新型ハードウェアを正式発表。Steam Deckの約6倍のパワーを持つ据え置き型ゲーミングPC「Steam Machine」が2026年初頭にリリース予定だ。価格は未発表だが、リビングルームでPCゲームを楽しめる新しい選択肢として注目を集めている。
Steam Machine、10年越しの復活劇
「Steam Machine」という名前を聞いて、デジャヴを感じた人もいるかもしれない。Valveは2014年頃に同名の製品展開を試みたが、2018年には静かに終息した過去がある。当時はサードパーティー製造で統一感に欠け、市場に浸透しなかった。
しかし今回は全く違うアプローチだ。Steam Deckの成功を受けて、Valveは自社開発でSteam Machine、Steam Controller、VRヘッドセット「Steam Frame」の3製品を同時発表した。新型Steam Machineは2026年初頭にリリース予定で、価格はまだ発表されていない。
Valveのエンジニア、Yazan Aldehayyat氏は「ついにソフトウェアとハードウェアの両方が揃って、当初のビジョンを実現できる」とコメント。10年越しのリベンジマッチが、いよいよ始まる。
コンパクトな6インチキューブに詰め込まれたパワー
新型Steam Machineは約6インチ(約15cm)四方のコンパクトな立方体デザイン。Xbox Series Xを半分にカットしたような、ミニマルな外観で、テレビの下やデスクの隅にすっきり収まる。
公式発表されたスペック
Valveが公式に発表したスペックは以下の通り:
- CPU: セミカスタムAMD Zen 4ベース
- GPU: セミカスタムAMD RDNA3
- メモリ: 16GB DDR5 + 8GB GDDR6 VRAM
- ストレージ: 512GBまたは2TB(microSD拡張対応)
- 性能: Steam Deckの約6倍のパフォーマンス、FSR対応による4K/60FPSプレイ可能
報道ベースの追加スペック情報(公式未確認)
複数の海外メディア(Tom’s Guide、Digital Foundryなど)では、以下のような仕様も報じられていますが、Valve公式からの明言はありません。
- CPU:6コア/12スレッド、最大4.8GHz(TDP 30W)
- GPU:28CU、最大2.45GHz(TDP 110W)
※こうした情報は信頼性の高いメディアからのリークではありますが、正式な数値ではないことにご注意ください。
I/Oポート構成(2025年11月時点での公表内容)
接続端子に関してはValveが公式に以下のように発表しています
- DisplayPort 1.4(最大8K/60Hz)
- HDMI 2.0(最大4K/120Hz)
- ギガビットLANポート
- USB-C(10Gbps)×1
- USB-A(前面:USB 3.0×2/背面:USB 2.0×2)
- Wi-Fi 6E(2×2)、Bluetooth 5.3
特徴的なのがカスタマイズ可能なフロントパネルとLEDライトストリップだ。LEDはダウンロードの進捗やシステムステータスを表示でき、画面がオフでも確認できる。色やアニメーションのカスタマイズも可能で、もちろん完全にオフにもできる。
SteamOSでWindowsゲームもプレイ可能
Steam MachineはSteam Deckと同じLinuxベースのSteamOSを搭載している。ゲーミングに最適化されたOSで、高速なスリープ・復帰機能やクラウドセーブを標準装備。まるでコンソールゲーム機のような使い心地を目指している。
「LinuxでWindowsゲームが動くの?」という疑問は当然だが、SteamOSには「Proton」という互換レイヤーが組み込まれており、Windowsゲームを翻訳してLinux上で動作させる仕組みだ。Steam Deckの成功で、この技術はかなり成熟している。
もちろん、これは本質的にはPCなので、Windowsや他のOSをインストールすることも可能だ。自由度は高い。
新型Steam Controller:次世代の操作性
新型Steam Controllerは、Steam Deckの全ての操作方法を無線コントローラーに統合している。スティック、ボタン、トリガーに加えて、マウス操作用のトラックパッドやジャイロコントロールも搭載。
注目の機能:
- 次世代マグネット式サムスティック(ドリフト現象に強いTMR技術)
- グリップセンス機能(コントローラーを握っているか検知)
- 約35時間の連続プレイ可能なバッテリー
- Bluetooth、2.4GHz無線(ドングル同梱)、有線の3種類の接続方式
Steam Machineには専用の2.4GHzワイヤレスアダプターが内蔵されており、最大4台のSteam Controllerを同時接続可能。もちろん、PS5のDualSenseやXboxコントローラーも使用できる。
性能比較:PS5とXboxの間に位置するか?
気になるのは、既存のゲーム機と比べた性能だ。複数のメディアが分析しているが、Steam MachineはXbox Series SとPS5の中間、やや PS5寄りの性能になる可能性が高い。
注意すべきポイント
VRAMの制約: 8GB GDDR6 VRAMは、Xbox Series Xの16GB統合メモリや、PS5の16GB統合メモリと比較すると少なめだ。最新の大作ゲームでは、VRAM不足がボトルネックになる可能性がある。
4K/60FPSの現実: ValveはFSR(FidelityFX Super Resolution)のアップスケーリング技術を活用した4K/60FPSゲーミングを目指している。つまり、ネイティブ4Kではなく、低解像度からのアップスケールが前提となる。
一方で、CPUのZen 4アーキテクチャは優秀で、RDNA3世代のGPUはレイトレーシング性能も向上している。実際の使用感は、Valveの最適化次第だろう。
自作PCと比較したコストパフォーマンス
「同じスペックのPCを自作した方が安いのでは?」という疑問もあるだろう。実際、海外メディアの試算では、類似スペックのPCを組むと$650〜$1,400程度になるという。
ただし、自作PCの場合は:
- Windows OSのライセンス費用(約1.5〜2万円)が別途必要
- 小型ケース、電源、マザーボードの選定に知識が必要
- 初期設定やドライバーのインストールに時間がかかる
Steam Machineは最初からSteamOSがインストール済みで、サインインするだけで全てのSteamライブラリにアクセスできるという手軽さが大きな価値だ。
Steamエコシステムの完成形
今回の発表では、Steam Machine以外にもVRヘッドセット「Steam Frame」が同時発表された。Steam FrameはMeta Quest 3と競合する独立型VRヘッドセットで、SteamOSを搭載している。
Steam MachineからSteam Frameへの直接ストリーミングも可能で、より高負荷なVRゲームをプレイできる。つまり、Valveは:
- 携帯機: Steam Deck
- 据え置き機: Steam Machine
- VR: Steam Frame
という3本柱で、完全なゲーミングエコシステムを構築しようとしているわけだ。どのデバイスでも同じSteamライブラリにアクセスでき、クラウドセーブで進行状況も同期される。
価格予想と発売スケジュール
発売時期
Steam Machine、Steam Controller、Steam Frameはいずれも2026年初頭に発売予定だ。具体的な日付は年明け以降に発表される見込み。
価格予想(非公式)
公式価格は未発表だが、アナリストや海外メディアは以下のように予想している:
- 512GBモデル: $699〜$899(約10万〜11.6万円)
- 2TBモデル: $1,000超(約14万円以上)
Steam Deckが$399〜という攻めた価格設定だったことを考えると、Steam Machineもある程度はコンペティティブな価格になることが期待される。特に512GBモデルは、10万円以下に収まれば大きな話題になるだろう。
販売地域
Steam Deckが現在出荷されている全ての地域(米国、カナダ、英国、EU、オーストラリア)に加え、日本、韓国、香港、台湾でも販売される予定だ。
まとめ:PCゲームへの新しい入り口
Steam Machineは、「コンソールゲーム機の手軽さ」と「PCゲームの自由度」を融合させる野心的なプロダクトだ。10年前の失敗から学び、Steam DeckとSteamOSの成功を経て、Valveはついに理想のリビングルームPCを実現しようとしている。
こんな人におすすめ
✅ PCゲームに興味があるが、自作PCはハードルが高い ✅ Steam Deckは好きだが、大画面でもっとパワフルに遊びたい ✅ リビングにコンパクトなゲーミングPCが欲しい ✅ Steamの膨大なライブラリにアクセスしたい
懸念点
❌ ハイエンドゲーミングPCには性能で劣る ❌ VRAM 8GBは最新大作ゲームでは心細い可能性 ❌ 価格次第ではPS5やXbox Series Xの方がコスパが良いかも
2026年春、Valveの新しい挑戦がゲーム市場にどんな影響を与えるのか。Steam Deckのような大ヒットになるか、それとも10年前の轍を踏むのか。今から目が離せない。
参考情報
- 本記事は2025年11月12日のValve公式発表および複数メディアの報道に基づいています
- 一部の詳細スペック(クロック速度、CU数など)は報道ベースの情報であり、公式確定情報ではありません
- 価格は未発表のため、記載の金額は予想値です
- 最新情報はValve公式サイトおよびSteam Hardware ページをご確認ください
Steam Controllerと代理店に関する補足
- Steam Controllerの仕様は、Valveの公式X(旧Twitter)投稿と発表イベントでのプレゼンに基づいています。
- 日本国内での販売は、Steam Deckと同様にKOMODO社が担当予定と複数の報道で言及されています(※Valve公式サイトには11月13日時点で明記なし)。





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